草枕

おちゃいち

2008年12月22日 22:00

夏目漱石の有名な作品、草枕。

出だしの文章です。

「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。

智に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。

意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」




この文章、今の時代に持ってきても色あせません。

時代は変わっても、人との関わり合いの難しさ(ゆえの面白さ)は

不変ということでしょうか。

さて、この草枕の中で主人公がお茶について述べる部分があります。

引用したいと思います。

「―茶碗を下に置かないで、そのまま口につけた。濃く甘く、

湯加減に出た、重い露を、舌の先へ一しずくずつ落して

味わって見るのは閑人適意の韻事(ひまな人間がきままに行う風流)

である。普通の人は茶を飲むものと心得ているが、あれは間違いだ。

舌頭へぽたりと載せて、清いものが四方に散れば

咽喉(のど)へ下るべき液は殆どない。

只 馥郁(ふくいく)たる匂(におい)が食道から胃のなかへ

沁み渡るのみである。―」




明治の文豪の表現力は、現代の文章には少ない重厚な魅力が

あります。

お茶を飲む表現から、口の中に広がる茶の香りや味の

想像力が広がるようです。。

私たちもお茶の魅力を伝えるものとして、表現力は磨かねば

なりませんが、道なお遠し、というのが現状です。






「あんたのために言っているんだがね」と茶を飲みながら話すオヤジ
人は良さそうだが実はタヌキである。










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