2008年12月10日
手もみ茶の作り方
お茶を作る工場を見たことはおありでしょうか。
大きな機械が沢山並んでいます。

この中をお茶の葉が通りながら、蒸されたり、揉まれたり、
乾燥させられていって、やっと製品としてのお茶が出来上がります。
でも昔はどうやってお茶を作っていたのでしょう。
こんな機械がないむかし・・。
江戸時代から明治にかけては、手で揉んでお茶を作っていました。
さあ、どんな具合に作っていたのでしょう。
数年前に私たちが行った手揉み茶研修会の写真をもとに
ご説明いたしましょう。
まず最初は摘んできたお茶の葉を蒸します。
当時は「せいろ」で蒸していました。

「せいろ」に生葉(摘んできた茶の葉)を平らに入れ、蒸気の
良く出る「こしき」の上に乗せ、ふたをします。まもなくふたの
隙間から蒸気が出始めるので、手早く茶葉をまぜ、
再びふたをします。香気の変化に気を付けて青臭みが無くなり、
甘涼しい香りが出始めたら、冷却台に移し、急冷します。
蒸し時間は蒸気の発生状態、茶葉の硬さ、投入量の
違いなどで一定ではありませんが、30~40秒程度です。
次に「焙炉」(ほいろ)と呼ばれるものに火を起こします。
「焙炉」というのは下から熱を当てながら上で揉みながら乾燥させる
道具です。これは揉む人の身体に大きさが合い、終始平均した
温度が長時間保てるように作ります。木枠に板を張りその内側を
赤粘土やしっくいで固め、中央部にはレンガを使うこともあります。

これは最初に新聞紙やまきで種火を起こしているところ。

これは「助炭」(じょたん)と呼ばれるもので、和紙で作ってあり、
これを焙炉の上にかぶせます。「かけご」とも呼びます。
種火が起こったら木炭を入れます。

木炭の量は1日分で約5kgです。うちわで扇いで火をまんべんなく広げます。

木炭が赤くなってきたら、上からわら(ころも藁)を均等にかぶせます。

わらが燃えて黒くなりました。このわらは発熱を均等にするために敷きます。
梁にする鉄棒を7本斜めに渡します。

次に金網(やや網目の幅の広い)を敷きます。


助炭を上に乗せます。これは、和紙を幾重にも張り合わせたものです。
のりには小麦粉を使います。

蒸しておいた茶葉を広げます。今回は蒸し葉3kgで作ります。

露切り(葉ぶるい)です。揉みやすくするため水分を蒸発させる操作です。
蒸し葉を小手に拾い、軽く指先を動かし、助炭の全面に茶葉が
広がるように、高さ約40cmのところから振るい落とします。乾くに従い
拾う量を多くし、振るい落とす位置を低くします。

回転もみ(ころがし):茶葉を集散、力を加え、水分の蒸発を促し
ながら茶葉の組織、細胞を破壊し、柔らかにする操作です。
回転揉みはもむ力の程度を基準に3つの操作に分けます。
始め小手で早く揉むのが「軽回転揉み」。大手にし、力を強くかける
のを「重回転揉み」茶葉を練るようにし、もっとも強い力を加える最後
の操作を「練り揉み」と呼びます。

玉解き、中上げ: 玉解きは回転揉みの最終段階で出来る茶の固まりを
ほぐす操作です。少しづつ力を減らし横揉みで解きます。
中上げは茶を中火かごに移し、平らに広げて置き、その間に
茶葉の各部の水分量を均一にする操作です。所要時間、約10分。
中揉み:もみ切りで茶によれ形をつける操作で、はじめは小手で
3手ぐらいに茶を軽く拾い、手早に振り、「もみ切り」をします。乾くに
従い、6拾い程度の大手にし、葉をそろえることに注意し、手使い位置
を低くして力を加えます。操作の末期には「でんぐり揉み」を併用します。
「でんぐり揉み」とは茶を助炭の中央に集め、両手で茶をおさえ、
その手に交互に押し手と受け手を受け持たせ、茶に回転を与える
手使いをいいます。
「もみ切り」は茶を両手で挟み、小指と食指とを締めて茶を掌の中心から
もみ散らすように、手の平を前後に激しくすり合わせます。
手使い位置が助炭に近づいた時は、いわゆる「拝みもみ」にし、力を入れ、
散らすのを控えめにして茶を揃え、力を加え、茶の水分の圧出をします。

仕上げもみ: 茶の形を整え、香味を良くする操作です。
方法には「もみ切り仕上げ」「こくりもみ仕上げ」「板ずり仕上げ」
などがありますが、その中で広く使われているのが「こくりもみ仕上げ」
です。要領は茶を両手で強く押さえ、指先を合わせて右の指先を
助炭につけ、茶を握る気持ちで受け手の指を曲げたり伸ばしたりして、
茶に回転を与えます。形、および色が整い、茶が手からすべり出る
ようになればOKです。
乾燥: 同一助炭でもよいが、あらかじめ用意しておいた70℃前後の
助炭上に茶を薄く広げて乾燥させます。焦げ香がつかないように注意します。

さあ!これで完成です!
この工程を全部こなすのに約3時間ほどかかります!
大変な肉体労働といっていいでしょう。
しかしお茶の味を決めるのは揉み次第なので、気が抜けません。
今は機械がやってくれますが、昔のお茶は貴重でありがたかった
というのもわかるような気がします。

手もみ名人が大汗をかいて揉んだお茶は
塩味が効いて、とてもおいしい。

大きな機械が沢山並んでいます。

この中をお茶の葉が通りながら、蒸されたり、揉まれたり、
乾燥させられていって、やっと製品としてのお茶が出来上がります。
でも昔はどうやってお茶を作っていたのでしょう。
こんな機械がないむかし・・。
江戸時代から明治にかけては、手で揉んでお茶を作っていました。
さあ、どんな具合に作っていたのでしょう。
数年前に私たちが行った手揉み茶研修会の写真をもとに
ご説明いたしましょう。
まず最初は摘んできたお茶の葉を蒸します。
当時は「せいろ」で蒸していました。

「せいろ」に生葉(摘んできた茶の葉)を平らに入れ、蒸気の
良く出る「こしき」の上に乗せ、ふたをします。まもなくふたの
隙間から蒸気が出始めるので、手早く茶葉をまぜ、
再びふたをします。香気の変化に気を付けて青臭みが無くなり、
甘涼しい香りが出始めたら、冷却台に移し、急冷します。
蒸し時間は蒸気の発生状態、茶葉の硬さ、投入量の
違いなどで一定ではありませんが、30~40秒程度です。
次に「焙炉」(ほいろ)と呼ばれるものに火を起こします。
「焙炉」というのは下から熱を当てながら上で揉みながら乾燥させる
道具です。これは揉む人の身体に大きさが合い、終始平均した
温度が長時間保てるように作ります。木枠に板を張りその内側を
赤粘土やしっくいで固め、中央部にはレンガを使うこともあります。

これは最初に新聞紙やまきで種火を起こしているところ。

これは「助炭」(じょたん)と呼ばれるもので、和紙で作ってあり、
これを焙炉の上にかぶせます。「かけご」とも呼びます。
種火が起こったら木炭を入れます。

木炭の量は1日分で約5kgです。うちわで扇いで火をまんべんなく広げます。

木炭が赤くなってきたら、上からわら(ころも藁)を均等にかぶせます。

わらが燃えて黒くなりました。このわらは発熱を均等にするために敷きます。
梁にする鉄棒を7本斜めに渡します。

次に金網(やや網目の幅の広い)を敷きます。


助炭を上に乗せます。これは、和紙を幾重にも張り合わせたものです。
のりには小麦粉を使います。

蒸しておいた茶葉を広げます。今回は蒸し葉3kgで作ります。

露切り(葉ぶるい)です。揉みやすくするため水分を蒸発させる操作です。
蒸し葉を小手に拾い、軽く指先を動かし、助炭の全面に茶葉が
広がるように、高さ約40cmのところから振るい落とします。乾くに従い
拾う量を多くし、振るい落とす位置を低くします。

回転もみ(ころがし):茶葉を集散、力を加え、水分の蒸発を促し
ながら茶葉の組織、細胞を破壊し、柔らかにする操作です。
回転揉みはもむ力の程度を基準に3つの操作に分けます。
始め小手で早く揉むのが「軽回転揉み」。大手にし、力を強くかける
のを「重回転揉み」茶葉を練るようにし、もっとも強い力を加える最後
の操作を「練り揉み」と呼びます。

玉解き、中上げ: 玉解きは回転揉みの最終段階で出来る茶の固まりを
ほぐす操作です。少しづつ力を減らし横揉みで解きます。
中上げは茶を中火かごに移し、平らに広げて置き、その間に
茶葉の各部の水分量を均一にする操作です。所要時間、約10分。
中揉み:もみ切りで茶によれ形をつける操作で、はじめは小手で
3手ぐらいに茶を軽く拾い、手早に振り、「もみ切り」をします。乾くに
従い、6拾い程度の大手にし、葉をそろえることに注意し、手使い位置
を低くして力を加えます。操作の末期には「でんぐり揉み」を併用します。
「でんぐり揉み」とは茶を助炭の中央に集め、両手で茶をおさえ、
その手に交互に押し手と受け手を受け持たせ、茶に回転を与える
手使いをいいます。
「もみ切り」は茶を両手で挟み、小指と食指とを締めて茶を掌の中心から
もみ散らすように、手の平を前後に激しくすり合わせます。
手使い位置が助炭に近づいた時は、いわゆる「拝みもみ」にし、力を入れ、
散らすのを控えめにして茶を揃え、力を加え、茶の水分の圧出をします。

仕上げもみ: 茶の形を整え、香味を良くする操作です。
方法には「もみ切り仕上げ」「こくりもみ仕上げ」「板ずり仕上げ」
などがありますが、その中で広く使われているのが「こくりもみ仕上げ」
です。要領は茶を両手で強く押さえ、指先を合わせて右の指先を
助炭につけ、茶を握る気持ちで受け手の指を曲げたり伸ばしたりして、
茶に回転を与えます。形、および色が整い、茶が手からすべり出る
ようになればOKです。
乾燥: 同一助炭でもよいが、あらかじめ用意しておいた70℃前後の
助炭上に茶を薄く広げて乾燥させます。焦げ香がつかないように注意します。

さあ!これで完成です!
この工程を全部こなすのに約3時間ほどかかります!
大変な肉体労働といっていいでしょう。
しかしお茶の味を決めるのは揉み次第なので、気が抜けません。
今は機械がやってくれますが、昔のお茶は貴重でありがたかった
というのもわかるような気がします。

手もみ名人が大汗をかいて揉んだお茶は
塩味が効いて、とてもおいしい。
